「クローン」・・・平たく言えば、既存のゲームの真似をしたゲームの事である。
「あぁ、あのゲームね、○○クローンでしょ」という言い方をする場合、
少し蔑んだニュアンスを含む事が多いでしょうか。
今回の話題は、そんな何かと馬鹿にされがちな「クローン」について!


クローンのメリットは、簡単に制作できる事

今のスマホアプリに何らかのクローンが多い理由の一つは、
新しいゲームの企画の多くが面白いプレイフィールに到達できず、
制作の途中で頓挫するからという側面があります。

それぐらい新しいく面白いプレイフィールに到達するのは
困難な事なのですよー。

(もう一つの理由は、クローンの方が完成形がイメージしやすく
投資判断のフェーズでGOが出やすいから。
理由としてはこちらの方がウェイトが大きいっす。)

クローンのメリットは、何と言っても簡単に制作できる事。
既存のゲームの後を追うにも、それなりに技術力が必要だけど
お手本があると無いでは、制作の難易度が大きく異なる。

ともあれ、ゲームデザインに適切な形でクローンを取り入れる事は、
限られたリソースで収益を生み出す事に貢献するのである!(どやっ

アウトゲームはクローンでいいんじゃない?


スマホアプリにおける「アウトゲーム」とは
「カードの編成・合成・進化・売却」「ステージ選択」「ログボ」「ガシャ」「ギルド機能」
などの事としてみる。この辺りはオリジナリティを出す必要がほとんど無い。

ですんで、妙な自意識は捨てて、積極的にクローンを取り入れ
制作のエネルギーを節約すべき箇所なんじゃないかと思うん。

インゲームクローンの基本戦略

インゲームのクローンはやりようによっては
厳しい闘いを強いられる事になるので注意が必要なところ。

ここでは例としてスマホアプリ「激突!ブレイク学園」という
「モンスターストライク」のクローンを見てみる。

このゲーム、非常に良く出来てるのですよ!
演出はゲームの雰囲気にマッチしているし
キャラも立っていて、ストーリーも面白い。
プレイフィールも快適で楽しく、素晴らしいクオリティ!!

しかし、熱血学園モノというのは本家「モンスターストライク」と
お客様(中学生〰高校生 男子)がまるかぶっている。
真正面から勝負を仕掛ける心意気はホントかっこいいのだけど
クローンは本家のプレイフィールを再現している以上、
真正面から殴り合ってもお客様から選ばれるのは難しいんじゃないか、という。

既にお客様は「モンスト」で資産形成している。
友人も「モンスト」で遊んでいる。

そして、似たようなゲームを遊ぶなら本家「モンスト」でいい


同じモンストクローンでも「ウチの姫さまがいちばんカワイイ」
萌えキャラを全面に押し出し、差別化を図っている。

「ウチ姫さま」の場合はお客様の層が異なる点に注目。
美少女で釣って、モンストのプレイフィールで継続させる事、
そして、今モンストを遊んでいるお客様の内、
モンスターよりは美少女を育成したいお客様に乗り換えてもらう事。
この二つがこの企画の狙いなんじゃないかなーと。

クローンを駆使し、似たプレイフィールで勝負を仕掛ける場合、
ターゲットとなるお客様を本家や既存アプリからずらす
のが肝要!

「ドラゴンコレクション」を大ヒットさせたコナミが
「秘書コレクション」「戦国コレクション」と
異なる客層にクローンを自社展開し、
お客様を囲い込んだのが好例ですわね。

最高の教材、完全クローン

最後に完全クローンの話を少しだけ。
(元のゲームを完全に再現するようゲームを制作する事を
今回、便宜的に完全クローンと呼ぶことにする。)

これは多くの場合、趣味や学習目的で行われます。

ただ遊んだだけでは、そのゲームの内部がどうなっているのかわからないが、
自分自身の手で再現する事で理解を完全なものにする事ができる、的な。

天才と名高いチュンソフトの中村光一氏はキャリアの序盤に
パックマンの動きの再現に挑戦している。

中村:ただ、例えばパックマン一つ真似するにしても、敵キャラには真っすぐ追いかけてくるやつもいれば、回りこんで追いかけてくるやつもいて、動きが全然違うわけでしょう。そこは自分の頭で一つ一つアルゴリズムを考えてプログラムしていかなきゃいけない。

新たなプレイフィールを生み出すために必要なゲームデザインへの深い理解を得るため、
完全クローンへの挑戦は良い体験になるんじゃないか、という仮説。

さてさて、少し長くなってしまったが、「クローン」についての解説はいかがだったでしょうか。
「クローン」を馬鹿にする事なく、そのメリットデメリットを理解し、適切に用いる事は
ゲームデザイナーとして必須スキルの一つなんじゃぁないかなって思うよ!

したらば!


※引用元
ドラクエ、かまいたち、シレン……伝説のゲームクリエイター・
中村光一が語るゲームづくりの秘訣は「仲間をつくろう」?
http://ch.nicovideo.jp/indies-game/blomaga/ar598481