お久しぶりです。
先日お知らせしていた新作ゲーム「ONE PUNCH」をついに公開いたしました!「ゲーム犬も歩けば」数年ぶりの新作です。

ワンパンチ【簡単タップで爆笑爽快!】
iOS:
https://apps.apple.com/us/app/id1518488270?l=ja
Android:
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.team.inumoarukeba.onepunch

一週間前には審査を通っており、先ほど公開ボタンをポチっと押しました。もう少ししたらストアに並ぶのではないかと思います。

モックアップの制作を始めたのが昨年の6月ですので、約一年間の制作期間となりました。長かったような、短かったような。今回は、一年間を振り返ってみようと思います。

まずは新作がどんなゲームか、軽く振り返っておきましょう。ワンパンで敵を吹っ飛ばすアーケードスタイルのカジュアルゲームです。



【ことの始まり】
ゲームのアイデアを思い付いたのは、3年くらい前です。当時、新作ワンパンチと同じように、サークルが小さくなっていって、円に重なった時にタイミングよくボタンを押すゲームがありました。そのゲームを遊んでいて「上手いプレイをしても、必ずしも気持ちいい映像体験になるわけではないのが勿体ないな」と感じたのがきっかけです。

そのゲームは、何度も上手にタイミングよくプレイして4~5回後にようやく気持ちいいシーンになるという構造でした。毎回気持ちいいシーンになった方がUXとして密度は高いはずです。

サークルが小さくなって、円に重なった時に上手くタップできて、そのときにどんな映像が再生されると一番気持ちだろうと考えた時「そりゃぁ人が吹っ飛ぶのが一番面白い」と思いがいたりました。

当時既にいくつも出ていたボクシングのゲームアプリのようにパンチでライフゲージを削るのではなく、大好きな某漫画のヒーローように、とにかくワンパンで人が吹っ飛びまくる。

この時点でコンセプトはバッチリ決まりました。

しかし…それから2年間の月日が流れます。
当時は「魔大陸の傭兵王」の制作で忙しくアイデアを実現するリソースがなく、お蔵入りになりました。

【自分でコードを書こう】
…そしてちょうど1年前の2019年6月。
「ゲーム犬も歩けば」は、ちょっとした窮地に立たされていました。相方のエンジニアが、仕事とプレイべートが忙しく半年ぐらい稼働できなくなってしまったのです。当然、プログラマーが動かなければ、ゲームを作ることはできません。

くたずみんは腹をくくりました。
「自分でコードを書いてゲームをつくろう」

じつは今までもFlashのActionScriptやUnityでコードを書いて作品を作った事はあったのですが最後まで作品を作り切ってストアに出した事はありません。プログラマーとしての腕前は新卒エンジニアに毛が生えた程度です。

最初はGetComponentってどうやるんだっけ、からのスタートでしたがやりたい事は明確だったので、一つ一つネットで検索しながら実装を進めることができました。

ステージ選択イメージ
(当時のモックアップ画)
【コンセプトが体現していたもの】
このあたりで一つの大きな気づきがありました。「吹っ飛ばした時の爽快感」がコンセプトだったのですが実際に作ってみると「吹っ飛ばした後の人間のポーズや動きがめちゃくちゃ面白い」ということです。

人間は人間に興味がある、ということなのでしょう。そのありのままを認めて、方針を大きく「バカゲー」に振ることにしました。盛大に鼻血を吹き出すようにしたり、吹っ飛ばした先で何か「アクシデント」が起こるように工夫して背景モデルを置いたり。ゲームプレイ中の得点表示なども、ふっとばした人間が見えるように、限りなく少なくしました。

この時点で、くたずみんは確信を抱きました。「このゲーム、めちゃくちゃ面白い」テストプレイしている最中にも頻繁に起こる、制作者さえ予想できないアクシデントに自分で爆笑していたからです。

ゲームは絶対面白い。
次の難関は、コンテンツの物量、はっきり言えば沢山の量のステージを制作することでした。
フルタイムで自分のゲーム制作に身を投じるためには、自作ゲームからの収入が一定を超える必要があります。そのためにも、絶対にこのゲームでお金を稼がなければならない。今回のマネタイズは非常にシンプルで、3回プレイするたびに1回広告動画を流すというもの。つまり、沢山ステージを作らなければ、ゲームが面白くてもお金になりません。

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【開発停止】
最終的には50個のユニーク背景と300のステージを完成させたのですが、この道のりが本当に長かった。作業自体は結構楽しかったのですが、なにせ普段は会社でサラリーマンとしての仕事があります。ふつうに働くというのは、かなり疲れる事です。その上にステージの量産作業が積まれるわけだから、楽なわけがない。途中、疲労がたまり、精神的に追い込まれ、ちょっとしたことでイライラしてしまう、ということが起こりました。

ほんとうにちょっとしたことで怒りが沸き上がってきて、どうしようもない。「ああ、これは、もう、だめだ」と思い、自主制作を完全停止することにしました。この開発停止期間が本当につらかった。ゲームクリエイターとしての独立は「夢」です。自分の考えたゲームを実現することだけに時間を使って生きていきたい。その夢に一歩も近づかない。ただ会社員として消耗していくだけの日々は絶望感さえありました。「どうしたらいいんだろう?」と何度も自分に問いかけました。しかし、作業をしなければ負荷は減り、徐々にですが体調は回復しました。意図的に自分の夢を停滞させるのは勇気のいることでした。このままモチベーションなくなってしまったらどうしようという不安もありました。

そして三か月後。あまりに自主制作を止めすぎたせいか、今度は会社行くのが心底嫌という感情が出てきてしまい「あ、これはこれで(生活が維持できなくて)ヤベェな」と思い、自主制作を再開しました。体調は、だいぶ回復していました。これならいけるというほのかな実感。長い長い3か月でした。

【妻の感想】
開発も終盤に入り、妻にテストプレイをお願いしました。すると「女の人を殴るのは、なんか胸がザワっとする」的なフィードバックが。当時のワンパンチには敵キャラに女性キャラクターが含まれていたのです。くたずみん個人の思想では「男女平等っていうんだから、悪人に男も女もないだろう、平等にぶっ飛ばされろや!」という感じなのですが、たしかに「女性を殴るのはチョット…」というのも直感的には理解できます。「幅広く、いろんな人に悪党を殴ってスッキリしてもらいたい」というのがこのゲームの趣旨で、女性を殴ると後ろめたい人が一人でもいるなら(実際いっぱいいると思います)、悪役は全員おっさんで揃えるのが正解です。悪いオッサンが殴られる分には誰も心を痛めないという現実は、なかなか世知辛いものがありますが、敵の3Dモデルを全部オッサンに差し替えることにしました。

以上がこの一年間の主だったエピソードです。他にも語り切れないぐらいの、多くのアイデアと試行錯誤がありますが、だいぶ長くなってしまったので、今日のところはこのあたりでお開きにしましょう。

【最後に】
自分もそうなのですが、社会人は基本的に疲れています。疲れている時に暇をつぶせるコンテンツというのは、意外と少ないものです。たとえばテレビ番組だと「孤独のグ〇メ」や「水曜ど〇でしょう」なんかは疲れた時でも、ぼけーっと見ていられます。気合の入ったドラマなんかは話を追うのに頭使うから、ちょっとしんどいですよね。

今回の新作「ワンパンチ」は「仕事で疲れていても遊べる」を裏コンセプトとして持っています。ゲームをするうえで「作業」や「やらなきゃいけないこと」が極端にシンプルで少ない。結果、少ないエネルギーで遊べて、笑えて、元気が出る。そんなゲームを目指しました。

また結果的に、YouTuberが実況した時に、アクシデントによる笑いが起こりやすい、撮れ高が高い、というのも特徴の一つになっています。コロナ禍で気分が沈みがちなご時世ですが、ワンパンチはきっとたくさんの笑顔を生み出してくれるに違いないと信じています。

新作「ワンパンチ【簡単タップで爆笑爽快!】」ぜひ、楽しんでくださいね!

ワンパンチ【簡単タップで爆笑爽快!】
iOS:
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Android:
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.team.inumoarukeba.onepunch

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